今は昔
不思議な能力を用い、人々の暮らしを支えていた人たちがいたことを、貴方は知っていますか。
陰と陽という二つのコトワリを操る者達。人はいつしか、彼らを陰陽師と呼ぶようになりました。
筑波嶺《つくばね》の
みねより落つる みなの川
恋ぞつもりて ふちとなりぬる
【陽成院】
「―――お前の居ない日常に、もう戻る事はできないと知ったのに。」
さて、これは都に日照りが続くある日。隠れた天才と呼ばれた、ある陰陽師の物語。
【注】この物語は日本を舞台にした、和風ファンタジーです。実在した人物、団体などとは一切関係ありません。また、史実をふまえた表現をしている部分もありますが、いろんな時代を織り交ぜてしまっている部分が多々あります。あくまでも「ファンタジー」であることをご了承ください!